教育環境観測所

3・11以後、生き方を見直しました。自然災害と放射線の低線量被爆にさらされた地域に根差した生活をやっていきます。教育と環境の視点で試行錯誤しながら。

深山(栗原市)の 牛たちの叫び と 市民の意思

 

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  震災のどさくさで作った「特措法」は初期段階の役目は終え、今や除染や汚染物処理、被災(被ばく)者支援において問題満載・矛盾続出の廃止すべき法制度となっています。ところが、3年経過後の見直し規定をも無視し愚行政策は継続されています。この特措法の基本方針で強行されようとしている「指定廃棄物の処理問題」もいきづまりが明らかです。環境省宮城県で開催した2回のフォーラムでは、その政策破たんが明白となりました。

※引用【河北新報】2015年05月30日
「誠意ない」反発続行 説明会 国と参加者 平行線 
 東京電力福島第一原発事故で発生した指定廃棄物の最終処分場建設をめぐり、環境省は29日夜、仙台市宮城野区のイベントホール松栄2回目となる県民向けフォーラムを開いた。4月5日の第1回フォーラムで質問が出た県内3カ所の候補地の選定根拠などについて説明したが、参加者から「誠意ある回答になっていない」といった反発が続出し、平行線のまま終わった。 候補地の栗原、加美、大和3市町や仙台市などから133人が参加。環境省の担当者や候補地の選定基準を話し合う国の有識者会議の専門家が説明役を務め、最終処分場の必要性や安全性を強調した。
 候補地の選定根拠について、環境省の室石泰弘指定廃棄物対策担当参事官は「利用可能な国有地、県有地を対象に、地滑りや洪水など候補地として避けるべき自然災害を(マイナス項目と)設定し、全国一律で評価できる地図データーを使って判断した。」と語った。参加者からは「3候補地の地形図を見れば地滑りの危険性は明らか」「宮城県に処分場を建てるなら、宮城の詳細なデーターを使って評価するべきだ」といった意見が相次いだ。
 3市町などの住民団体でつくる放射性廃棄物最終処分場に反対する県民連絡会」の高橋福継会長(73)=加美町=は「地域住民が納得できる説明は何一つなかった。今後の詳細調査は白紙に戻さなくてはならない」と憤った。終了後に取材に応じた室石参事官は「前回より議論が深まったが、十分理解が得られたとは思わない」と語った。昨年秋から中断している現地調査の再開予定については「3市町で足並みそろって調査が行えるよう条件が整えば、すぐにでも行いたい。具体的な日程は決まっていない」と述べるにとどまった。(引用終わり)

 

詳細については以下のサイトを参照してください。

環境省への公開質問状

 http://dkazenokai.blog.fc2.com/blog-entry-266.html

フォーラム(第2回)の議事録

http://shiteihaiki.env.go.jp/initiatives_other/miyagi/pdf/forum_miyagi_150529_proceedings.pdf

 

この問題の栗原市における論点は以下にまとめられると思います。

① 第1回市町村長会議(20141025)の問題

 ・処分場建設「県内1か所」への誘導(特措法の基本方針盲従姿勢)等の議論の不十

  分さを検証し、市民公開のもと論点と到達点を確認しながらのていねいなゼロベー

  スからの協議を実施すること

② 「原子炉等規制法」等の放射性物質を扱うための基本法との整合性の欠落

 経産省の核廃棄物処理や、環境省廃棄物処理における環境アセスメントと同等

  の選定手続きさえない粗雑さを正し、新しい「放射能汚染に関する法制度」の整備

  を要求すること。

 ・放射性汚染物質を扱う能力のない環境省は、業務から手を引き、経産省を中心とし

  た原子力行政の責任体制の中にこの事業を組み込むことを要求すること

③ 新しい「放射能汚染に関する法制度」による低線量被ばく影響の過小評価の解消

 ・8000bq/kg以下汚染物の切り捨てを改めること

 ・焼却処理の危険性を重視し、生体処理を含めた多面的な処理方法の研究を推進する

 ・「無主物裁判」東電責任明白

④ 汚染稲わらの仮保管状況のひっ迫論はこじつけの別問題

 ・最終処分場(長期保管施設)が今後どう進展しようが、仮保管の需要はあと2年間は必要とされるので、仮保管施設の再整備は必要不可欠である

 ・8000bq/kg以下の大量の汚染物の処理こそが難題であり、混焼して薄めれば済むという問題ではない

 ・県の農林水産部と環境省の分担体制の連携不足による管理の実態のバラツキや2年契約の期限切れの見通し悪さ等が問題の本質である

⑤ 詳細調査は建設のためのワンステップでしかない問題

・候補地選出の都合のよい基準ですべてクリアされているので候補地の選定の可否は

 変わらない

・詳細調査で建設地除外の決定を獲得するという主張は、「他の候補地に決定されても

 構わない(自分のことろでなければいい)」という宣言をすることと同意である

・候補地3市町同時調査の条件は、強制調査では成立せず、首長の同意を必要とする 

 

 定廃棄物の最終処分場(→長期保管施設)の候補地は東電敷地以外にありえません。

現実的には、今ある場所でやたら動かさず(燃やさず)きちんと静かに百年見守ることも選択肢のひとつです。山ではなく、身近できちんと・・・です。